ジーエヌアイグループ (GNI) [2]

F647が新薬承認

前回、「株式会社ジーエヌアイ(GNI)」の記事を書いたのが2011/01/10でした。

それから9ヶ月が経ち、この会社の環境が大きく変化をしたので、第2弾としてblogを書きたいと思います。

このサイトを検索して訪れた方の多くは、2011年9月22日(木)に、株式会社ジーエヌアイグループの中国子会社である「上海ジェノミクス社」が、特発性肺線維症の新薬「F647 (IPF)」を承認された事で、一体どういうことなんだろう?と検索をしている最中に、辿り着かれたのでは無いかと思います。

F647はピルフェニドンと言われている薬で、日本では塩野義製薬が、米国マルナック社・KDL株式会社からライセンスを受け、2008年10月16日に製造販売承認され、「ピレスパ」という商品名で販売されています。

 

「特発性肺線維症」とは

私もこのジーエヌアイという会社を知るまで、特発性肺線維症の事を知りませんでした。

特発性肺線維症は、塩野義製薬が2008年12月12日にIR発表された資料に、このように記載されています。

原因不明の疾患であり、肺胞壁の線維化が進行することにより、不可逆性の蜂巣肺(高分解能 CT にて肺が蜂の巣様に写る状態)形成をきたす予後不良の疾患です。
一般的 に拘束性障害〔肺活量や全肺気量の減少〕が認められます。
症状(肺胞壁の線維化) が進行すると肺でのガス交換(酸素と二酸化炭素の交換)が困難になり酸素吸入療法等が必要になる場合もあります。
当該疾患は、特定疾患(いわゆる難病)に指定されております。

確かに中国国内でこの病気を患っている方にすれば、1日も早い承認が待ち焦がれていたことでしょう。
中国政府も「医療費抑制は国策」として推進しているため、フェーズ3を飛ばしての早期承認となったのでしょう。

 

国内のバイオベンチャーへの影響

ジーエヌアイグループ及び上海ジェノミクス社が、中国市場で新薬の認可を受けたことで、日本のベンチャー企業にも大きな変化が訪れる可能性があります。

それは何故か。
ジーエヌアイグループや上海ジェノミクス社と、中国でのビジネス展開を目指している企業が存在するからです。

上海ジェノミクス社へライセンスしている免疫生物研究所

免疫生物研究所は、2010年6月21日に下記のようなIRを発表しています。

今回の契約は、当社が開発作製した複数の抗体について、中国で急成長を続ける臨床検査市場に参入するため、 それら抗体に関する製造、開発および販売するライセンスをSG社 に譲渡するものです。
本締結によって、SG社は今後中国市場において、がんを中心とした 体外診断用医薬品の開発、製造および販売が可能となります。
当社はその売上高に対して 一定率のロイヤリティーを一定期間受領することになります。
契約締結にかかる契約一時金の受領はありません。 なお、契約の経済条件の詳細な内容については公表しておりません。
GNI/SG 社の社長兼 CEO の Ying Luo 博士と当社代表取締役社長の清藤勉は次のように表明しております。
「両社の提携は IBL の抗体作製の先端技術と中国市場に主要基盤を置く GNI 社の立地的メリットの相互活用によるシナジー効果を期待するものであり、これを 第一歩として将来に向けて更なる協力体制によって両社の発展を願うものであります。」

GNIのパイプラインには、今回承認を受けた「F647(IPG)」の他に、「F647(RP):放射線性肺炎」「F351:肝線維症/肝硬変」「F573:急性肝不全/ウイルス性肝炎」がありますが、ガン関連はF647(RP)ですが、「体外診断用医薬品の開発」と記載されていますので、それは関係なさそうです。

ということは、別のライン…ということで、その後、免疫生物研究所は、2011年4月25日に「新規膵臓がんマーカーの診断応用に向けた共同研究に関するお知らせ」というIRを出しています。

つまり、免疫生物研究所は、この新規膵臓がんマーカーをGNIを通じて中国市場での上市を目指しているのでは無いかと思われます。

 

その免疫生物研究所と提携しているのは

だんだん連想ゲームのようになっていますが、免疫生物研究所との包括的業務提携をしている企業といえば、トランスジェニックです。

トランスジェニックは、既にジアチルスペルミンによる、尿ガン検査の特許を取得しています。
このジアチルスペルミンの検査での早期発見は「早期大腸がんを尿検査で発見 従来の方法より高感度」という報道もあるように、大腸がんでは248人中75.8%をがんと判別されています。

もちろん、このジアチルスペルミンによる早期ガン診断に関する特許は中国でも承認されていますので、着々と進行しているように思えます。(この特許は、日本・米国でも承認済み)

また、トランスジェニックの社長である福永さんは、現在、免疫生物研究所の社外取締役に就任されていますので、トランスジェニック〜免疫生物研究所〜上海ジェノミクス社が繋がり、日本のバイオ企業に大きな影響を与えるのではないかと思います。

そして奇妙なことに、トランスジェニックと免疫生物研究所は揃って、今期、黒字化を達成予定と発表をされています。

もちろん、このGNIの承認を見越しての黒字化ではないでしょうが、今まで日本の赤字バイオベンチャーが、大きく飛躍する可能性が出てきたことは間違いありません。

 

今後の日本のバイオ企業

日本には、免疫生物研究所やトランスジェニックの他にも、以前紹介をしたテラをはじめ、ナノキャリア、メディネット、セルシード、タカラバイオなど、数多くありますが、もしかすると、ジーエヌアイグループの成功を皮切りに、中国へのシフトが進み、ますますドラッグラグが進むのでは無いかという心配があります。

今後のジーエヌアイグループの動向と、日本のバイオ企業の動向にも注目をしたいと思います。

 

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コメント

  1. もんた より:

    GNI関連で一番興味深く読める考察です。

  2. Zeras より:

    大変勉強になりました。GNI社を二年前より追いかけてこの会社に今後の人生をかけています。これからも貴重な御意見と適切な資料による考察をお願いします.有難うございました。

  3. 管理者 より:

    もんたさん
    Zerasさん

    コメントありがとうございます。
    私もそれほどGNIという会社のことは詳しくはありませんが、日本〜中国を結ぶ架け橋のような会社になってくれることを期待してblogを書きました。

    中国だけでなく、日本、そして世界中の難病に苦しむ方の力になる、そんな、大きな会社に成長していって欲しいですね。

    • Zeras より:

      丁寧に返信していただき有難うございます。
      実は私は九州で会社を経営していて社会貢献も兼ねて
      ボランティア活動をしています。
      日本でもまだまだ支援を必要としている人が多くいます。
      今は学生のホームステイのお手伝いをしています。
      社会の事色々勉強させて下さい。 これからもブログ拝見させて頂きます。

  4. 管理者 より:

    Zeras さん

    コメントありがとうございます。

    ボランティアでホームステイの受け入れをされているとのこと、素晴らしいと思います。
    私も「誰か困っている人の力になれる仕事がしたい」と思い、webのプログラムを作る仕事を選びました。

    力仕事は出来ないひ弱な体ですし、決して金銭的に余裕があるわけでもありませんが、webやITの技術で誰かの役に立てる事が出来ないかと、いつも考えています。

    私のような若輩者でも、何かお力になれることがあれば、是非、仰って頂ければと思います。

    • Zeras より:

      お久し振りです。先日息子が1ヶ月マレーシアにホームステイしてきました。
      その仲間達と懇談会をしました。若い力と向上心にまだまだ日本の未来も
      捨てた物では無いと感じました。大人の確執や利権争いの政治が話題になり
      世界では血を流している毎日に辟易していましたが、見近に目を輝やかせている若者がいるとやはりこども達は宝で、未来は明るいと感じます。
      世界を感じ日本を変えてくれる子供達に期待したいと思います。
      冬休みにまた海外から来日生がやって来ます。海外の子供達に日本の良い所を
      見せ、日本を好きになってもらいたいとおもいます。


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