トランスジェニック

私が「注目の企業」として挙げてきた「テラ」「ジーエヌアイグループ ( GNI )」はいずれもバイオベンチャーなので、そろそろ違う分野の…とも思いましたが、あえて今回もバイオベンチャーである「トランスジェニック」の事を書きたいと思います。

トランスジェニックとの出会い

私が初めてトランスジェニックを知ったのは、2010年4月下旬からの大暴騰でした。

もちろん、株投資のド素人の私でも目に付かないはずはなく、2010年4月20日の16,260円から2010年5月10日の91,900円の大暴騰は、インパクトが大きかったです。(特に2010年5月10日は、ストップ高 → ストップ安 へ急降下したのも強烈な印象を残しました)

しかし、このトランスジェニックが大暴騰した理由にうなずけました。

それは「[PDF] 尿サンプルによる癌診断の測定系に関する特許が米国にて成立」だったのです。

株式会社トランスジェニック(代表取締役社長:山村研一、熊本県熊本市)は、尿サンプルによる癌診断に利用される高感度免疫学的測定系に関する特許が、米国において成立しましたので、お知らせいたします(特許番号 US7,700,741)。

このたび成立した特許は、尿中に排泄されるジアセチルスペルミンと癌の関連性が高いことに着目し、尿サンプルによる癌診断方法を確立すべく開発したジアセチルスペルミンに対する親和性の高い新規なモノクローナル抗体および高感度、簡便かつ非侵襲的な癌診断の測定系に関する特許です。なお、本測 定系に関する特許は、すでに日本国内において成立しています。

本測定系を用いたビジネスの進捗状況は、2008 年 7 月 8 日に当社と診断薬メーカーで締結いたしました「尿サンプルによる癌診断に関するライセンス契約」に基づき、現在も体外診断薬として上市に向け進行しております。

本特許が米国で成立したことにより、当社の開発した尿サンプルによる癌診断の測定系が日本のみならず米国においても知的財産権として保護され、当社のライセンス活動を強力にサポートすることが可能となります。

このIRでトランスジェニックという会社が、初期がん診断薬の開発をしていることを知り、私は凄く衝撃を受けました。
それは、私の父親・母親がいずれのもガン家系のため、ガンの早期発見と治療に対して、年々強い関心を持つようになったからです。
そんなときに出会った「トランスジェニック」と「テラ」の2社。

トランスジェニックの「ジアセチルスペルミン」でガンを早期発見して、テラのWT1ペプチドの免疫療法で治療すれば、ガンはもう怖い病気ではなくなるのではないか、と感じたのでした。

 

その後の上市の状況は?

「ジアセチルスペルミン」によるガンの早期発見は、上市に向けて進行していると記載されているものの、このblogを書いている2011年10月10日現在、未だ上市される気配はありません。

ガンの早期発見は、日本人、いや人類の望みであり、「ジアセチルスペルミン」の特許に関しては日本でも既に取得済みで、いつ上市されてもおかしくない状況のはずなのに、一向に進展がないというのは何故なんだろう?と不思議もあり、いろいろな事を考えてしまいます。

とはいえ、定期的に厚労省は「医療機器・体外診断薬部会」を開催し、体外診断薬の審議をしているので、そのうち上市されるのではないかと思っています。

ただ、もしかすると、日本よりも先に中国での上市なんて事になるかもしれません。

2011年9月29日に「[PDF] 外国専家遼寧友誼賞 受賞のお知らせ」というプレスリリースを出しています。

このたび、当社技術統括担当取締役(CTO)である山村研一が、中国遼寧省政府により外国人専門家に与えられる最高栄誉の「外国専家遼寧友誼賞」を受賞いたしましたのでお知らせいたします。

「外国専家遼寧友誼賞」は、遼寧省における経済及び社会の発展に大きな貢献をした外国人専門家に授与されるもので、遼寧省在住3万人の外国人および遼寧省と協力関係にある外国人を対象に、世界各国から30人程度が選出されます。

今回の「外国専家遼寧友誼賞」受賞は、当社とライセンス契約を締結している中国遼寧省MEDI社およびその本社の所在地である遼寧省本渓市から推薦され、その牽引者である山村研一の貢献が認められたものです。

当社は、今後とも遼寧省をはじめとする当社の中国ネットワークの連携を深め、中国への事業展開を積極的にすすめてまいります。

このMEDI社とのライセンス契約とは、おそらく「[PDF] 尿中サンプルによる癌診断に関する独占ライセンス契約締結」のIRで出された内容に関係しているものと思われます。

この提携から、僅か1年足らずで「経済及び社会の発展に大きな貢献をした」と表彰されたということは、中国の国策に乗った展開であり、上市の時期はある程度見えているのではないかとさえ思えます。

もし日本よりも中国での上市が早い…なんて事があれば、本当にバイオベンチャーは日本で開発をする理由がなくなり、ジーエヌアイグループと同様に中国での開発へシフトしてしまい、ますますドラッグラグが起こるのでは無いかと心配になってきます。

 

その他にも凄い技術を持っている

私はトランスジェニックのことを「ジアセチルスペルミン」で知ったのですが、調べれば調べるほど、この会社の底知れぬポテンシャルに圧倒されました。

・トラップマウスの技術の特許([PDF] 欧州、[PDF] 中国、[PDF] 香港、[PDF] 日本

・GANPマウス技術の特許([PDF] オーストラリア、[PDF] 欧州、[PDF] 日本、[PDF] 韓国、[PDF] 米国、[PDF] 中国)と、[PDF] GenScript Corporation社からの世界導出

・[PDF] 新規膵臓がんマーカーの特許(日本)、[PDF] 免疫生物研究所との共同研究

・[PDF] タンパク質高発現系技術に関する特許出願

・[PDF] メタボリックシンドロームに関する共同研究

・[PDF] JOINN LABORATORIESとの非臨床試験受託業務提携

トランスジェニック社の収益の柱であるマウス事業に関しては「トラップマウス」「GANPマウス」ともに、日本だけなく様々な国で特許を取得し、さらにGANPマウスは世界中へ導出する契約も結んでいます。

また、トラップマウスは「ヒト化マウス」を制作できる特徴を有しているとのことなので、既に成功しているヒト化マウスから、「更に進化させたヒト化マウス」の研究が成功すれば、これからの再生医療の進展の一助を担うことは間違いありませんし、この会社が、今後の日本や中国、そして世界の医療の「縁の下の力持ち」な役割を担い続ける、そんな気がします。

 

ほのかに甘いアメと、強烈に痛いムチ

しかし、これだけすばらしい会社であっても、やはりベンチャー企業ということで、上場以来、黒字決算をしたことがありません。

本年は黒字化が見込まれていましたが、[PDF] 2011年10月3日に大幅な下方修正がされ、本年の黒字決算も厳しくなりました。

また、昨年の2010年9月1日には、[PDF] マッコリー・バンク・リミテッドに対してMSワラントの行使をし、株価が急速に下落したことも痛すぎるムチだったことでしょう。

しかし、このMSワラントで現金を手に入れ、新しいマウスの施設の建設ができたことで、着実にトランスジェニックが掲げる「未来に資するとともに、世界の人々の健康と豊かな暮らしの実現に貢献する」という企業理念に賛同する株主にとっては、未来へのアメと言えるのかもしれません。

 

今現在の株価は、昨年のMSワラント前から比較すると、約半分程度の水準になっていますが、「ジアセチルスペルミン」の技術を用いた超初期段階(ステージゼロ)のガン診断薬の上市と、ヒト化マウスの成功が実現すれば、日本屈指のバイオ企業になってくれることを私は期待しています。

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