絵心ゼロのシステム系がLINEスタンプを作ってみた 前編

リジェクトから始まる

「LINE Creators Market」が開始されたのが4月17日。

以前の LINE Creators Market で成功するために で書いたように、私もデザイナーの友人(以下 Tさん)と一緒に、LINEスタンプを作成し、開始と同時に申請を行いました。

しかし、無情にも5月1日にリジェクトを告げるメールが届きました。

リジェクト内容に納得がいかなかったので、再度、メッセージを添えて再申請したものの、約1ヶ月後の6/2日に再度リジェクトをされました。

しかし、それくらいではめげない私は、再度申請を行うわけですが、コピペされた理由が添えられて再度リジェクト。

そもそも、モチーフがLINEとしては受け付けられないということだったのでしょう。

再度のリジェクトが来た時点で、そのスタンプを諦めるという決断をすることになります。

 


 

この決断をしてから、1ヶ月。

私は、次のスタンプのネタを考えていました。

「今度はリジェクトされ無さそうな、新しいスタンプを作ろうよ」と、Tさんにアイデアを伝えるのですが、いかんせん、Tが勤める会社は残業が多く、夜遅く(というより朝早く)まで働かされているため、平日はもちろんのこと、休日も疲れていることと、一度食らったリジェクトへの失望感から、何かを作るというモチベーションにならないのでした。

そんなある日のこと、勤務先のデザイナー(以下 Nさん)と昼食をしながら、これまでの事や、今考えているスタンプのことなどを話していました。

その流れで「こんな感じのスタンプを作りたい」というコンセプトと、イメージ画像をNさにに見せたところ、大爆笑をされたのでした。

いただきます

「うわぁ…めちゃくちゃ個性的ですね」

まぁ、自分でも絵心がないのは知っているので、とてつもなく下手なのは知っていますが、こんなに衝撃的に受け取られるとは思っても見ませんでした。

しかし「今はもう既に綺麗に描かれたスタンプばかりになっていますし、こんなにインパクトの強い絵は無いですよ。これ、スタンプにしましょう」と言われたのです。

「こんなド下手な絵のスタンプ、買う人なんか居ませんって」と私が言っても、「いや、これは埋もれないです。売れますよ!」と背中を押してこられたのです。

Nさんの強い押しもあり、「こんな下手な絵で良いなら、描いてみるか」と思いたったのが6月の始め。

バシャ子

スタンプのコンセプトは、デザイナーの友人が勤めている企業(いわゆるブラック企業)での「あるあるネタ」を絵にするという事に決まりました。

「黒い影」「拘束される人」「企業の歯車」…などなど考えているうちに、「馬車馬のごとく働く」というフレーズが浮かび、
「じゃ、バシャ馬くんという馬のキャラクタを使って、あるあるネタをスタンプにしよう」
「バシャ馬といえば、カボチャの馬車だよね。じゃ、カボチャの形をした上司が、バシャ馬くんを追い詰めてゆくことにしよう」
と、大枠のコンセプトが決まって行きました。

 

どうやって描くか

こうして、バシャ馬くんと、上司のバシャ子さんという2つのキャラクタ設定ができ、ばしゃ馬くんを描き始めるものの、なかなか馬の絵が上手く描けません。

「上手く描いちゃダメなんですよ。そのままで十分個性的なんですから」と、何度もNさんから言われるものの、絵心の無いシステム人間が描く酷い絵は、それはもう本当に見るに堪えない出来なのでした。

バシャ馬くんとはいえ、会社の仕事が終わってから、毎日、毎日、ボールペンでノートに描いて練習をしていくと、徐々に絵のバランスが取れ始め、下手なりに「馬っぽいもの」が描けるようになってきます。

そして、いざ、スタンプとしてデジタルデータとして描いてみようと思ったとき、どういう手段を使ってデジタルデータにすれば良いんだろう…と悩むことになります。

デザイナーの友達が描いてリジェクトされたスタンプの画像は、Illustratorで描いていました。

友達が描いている作業を横で見ていたとき、私にはこれは無理だなと悟っていたため、早々にIllustratorは選択肢から消えました。

じゃ、Photoshopを使って、マウスで線を描いてみればどうだろう…と思い、やってみるのですが、手でノートに描く以上に上手く描けないのです。

じゃ、ペンタブはどうだろう…と思い、デザイナーの友達にペンタブを借りてやってみるものの、ペン操作に馴れることが出来ず断念。

こうして、パソコンを使って絵を描くという道が絶たれてしまったのです。

電話なってる

絵は下手、パソコンでも描けない、もう終わりだ…と思ったとき、

「手で描けるなら、もうノートに手書きをしてみたら?その手書きしたのをスキャナでパソコンに取り込んで、PhotoShopで色を塗ればいいんじゃない?」

と、友達に言われ、その手で行こう!と決めたのです。

しかし、ここで再びトラブルが発生。
長年使っていなかったスキャナが、上手く動作しないのです。

正確には、OS(OSX 10.9.4)がその機種をサポートしていなかったのです。

新たにスキャナを買ったとして、そのスキャナ代が稼げるほど、スタンプが売れるのだろうか…ド下手な絵のブラック企業ネタのスタンプが売れるのだろうか…

躊躇の向かい風、いや、嵐の中で、再び私のスタンプ作成への道は絶たれるのでした。

撮影

そんな今までの流れを、Nさんに話すと、

「スキャナが使えないなら、iPhoneのカメラで撮影したのを使えば良いんじゃないですか?この前見せてもらった絵もiPhoneで撮られたんですよね?」

と言われたのです。

そもそも、絵が下手なんだし、スキャナで綺麗に取らないと微妙なニュアンスが出せないという繊細さはありません。

こうして、ノートにボールペンで描いた後、iPhoneで撮影をし、Photoshopで加工をするという手順でスタンプを作る事になったのでした。

 

そして、スタンプを申請

こうして始まったスタンプ作成ですが、40個のネタを考えながら、作成をしてゆく事になります。

会社の通常勤務の後で、毎日4つほどノートに絵を描いて、iPhoneで撮影して、Photoshopで色を塗って…そんな毎日が続きます。

そして、土日は少しの時間があれば、出来るだけ描いていました。

作っていく過程で、バシャ馬くんとバシャ子さんが会話しているようにすれば、日常的なスタンプとして使えるなぁと思い、対話風に絵を書き進めていったところ、徐々にストーリー性が生まれ、それぞれのキャラクタが自分の中で固まってゆきました。

バシャ子がこういう言い方をしたら、気弱なバシャ馬くんなら、こう言ったり、こういう態度に出るだろうなぁ。

こんなかんじで、ブラック企業での日常会話を想像しながら、スタンプを作ってゆきました。

beforeこうして40個の絵が描けたのですが、絵心のない人間が40個の絵を描いてゆくと、僅かならがも上達をするもので、見返してみると、最初の頃に描いていた絵が気にくわなくなってきます。

一言で言うと、下手すぎるのです。というか、そもそも馬じゃ無いのです。

afterいかんいかん、これは、いくらなんでも下手過ぎる…。ということで、幾つかの絵を描き直して行きました。

絵がある程度整ってくると、今度は、台詞の文字が気になり出します

完成文字もボールペンで書き殴ったものより、ちゃんと読める文字で書いた方が良いなと思い、筆ペンで文字を書いていったのでした。

子供の頃に習字を習っていたこともあり、筆ペンを持つと気合いが入ります。

40個のスタンプの文字を筆ペンで書いて、iPhoneで撮って、Photoshopで画像とマージをするという作業をし、ようやく体裁が整い始めます。

 

こうして、幾つもの挫折と、出来ない理由を乗り越えて、ようやく40個のスタンプ画像が整いました。

申請に必要な説明文を作成し、ついに2014年6月22日「バシャ馬くん 〜 Mr.Sweatshop Horse 〜」として申請をしたのでした。

 
バシャ馬くん申請
まさか、自分の手で描いたド下手な絵でLINEスタンプを作る事になるなんて思ってもみなかったので、申請が終わったときは、何とも言えない複雑な気持ちになりました。

そして、Tさんが描いてくれたスタンプがリジェクトされた事へのリベンジが始まった!という思いもありました。

 

筆で何か書きたい!という思いで次のスタンプを申請

「バシャ馬君」の申請が終わったことで、1つ荷物が下りたと同時に、筆ペンで何かを描くのが楽しく感じていました。

今度は筆ペン文字を使って、なにかスタンプが作れないかなぁと思い、いろいろモチーフを考えていた時、私の目に付いたのが「将棋の駒」でした。

そうだ!将棋の駒に筆文字で何か文字を書いて、その文字のシチュエーションにそった絵にすれば、スタンプとして使えるんじゃないだろうか!めちゃ日本っぽいし!という、物凄く単純明快なノリです。

馬がポーズを取らなければいけないのと違い、駒の形を崩す必要は無いので、駒のベースの絵を描いて、あとは手と足を線で描くことで、その場面を表現する事ができそうです。

将棋の駒将棋の駒なら、絵心が無い私が描いても、日本人ならば理解できるでしょうし、塗りもほぼ1色のため、すらすらと作成がすすみました。

こうして、この将棋のスタンプは、バシャ馬くんの完成から10日後の7/2に「ぼくは駒 〜 I’m a Shogi chess piece! 〜」として申請をしたのでした。

タイトルの「ぼくは駒」は、宇多田ヒカルさんの曲を聴いている時に、あ、これだ。と思って名付けてみたのでした。

ぼくはこま申請

 

押し寄せるテンションでさらに次のスタンプへ

「バシャ馬くん」「将棋の駒」と、矢継ぎ早にスタンプを作ったので、一休みしよう…
なんて思っていた、7/3に「バシャ馬くん」のステータスが「審査待ち」から「審査中」に変わったのです。

バシャ馬くん審査中

LINEの審査には時間がかかるといわれていたのに、2週間もしないうちに「審査中」に変わったという現実に、私のモチベーションは急速に沸き立ち、「バシャ馬くん」の続きを作ろう!と決意したのです。

バシャ馬くんを40個(手直しを入れればそれ以上)も描いていた手は、バシャ馬くんを描くことにすっかり馴れていて、案外とスラスラ描けてゆけたのでした。

とはいえ、絵心のない自分には些細な描き分けが出来る訳も無く、同じキャラクタで、更に40個を描き上げるのは無理だと思い、確実に描き分けられる新しいキャラクタを入れる事にしました。

鹿Nさんに
「何か馬に似ていて、描きやすくて、馬とは違いが出せるキャラクタは無いですかね」と相談したところ、
「鹿はどうでしょう」というアドバイスを貰い、早速、鹿を「バシャ馬くんの同期入社メンバー」として採用することにしました。

カバすると、Nさんが
「馬と鹿ですか…バカ(馬鹿)なんですね。」
と言われたので、バカの反対…カバ! それじゃ、カバも入れましょうという、オヤジネタから、カバを新入社員として入れることにしました。

鹿くんとカバが入ったことで、スタンプにシナリオがつき始めました。

きっと、鹿くんは他の部署から入ってきたんだろう、カバ君は新入社員として入ってきたけれど、使えなすぎて、バシャ馬くんと鹿くんが余計に酷い労働を強いられるんだろう…など、バシャ馬くんとバシャ子さんとの関係性などにも膨らみが出始めました。

バイオレンスそのシナリオのシーンを切り取りながら、スタンプの画像を作りつつ、twitterのタイムラインでリジェクトされた理由などの情報を元に、「バイオレンス」などのリジェクトを食らいそうな画像を、違う画像に差し替えながら、40個の画像を描いてゆきました。

(※ これは通りそうにないので、ボツにしました。)

こうして、バシャ馬くんの続編とも言える「バシャ馬くんと同僚 時々 後輩 〜 Mr.Sweatshop Horse & his co-workers 〜」が完成し、7/9に申請をしました。

バシャ馬くん2申請

僅か1ヶ月の間に、120個の絵を描いたことで、さすがに緊張の糸が切れ、一旦スタンプの作成をやめる事にしました。

 

ついに承認された! けれど…

3つのスタンプは、その後、画像の透過が出来ていないというリジェクトが来たものの、「審査待ち」から「審査中」へと変わってゆき、チェックが通過したことを知らせる日付のアップデートが何度かなされてゆきました。

8月8日を最後に、日付のアップデートがなされないまま、約1ヶ月間の時が流れました。
そして、9月3日(水)に、遂に、ようやく念願だった「承認」を告げるメールがLINEから届いたのです!

承認メール

「やったーーーー!やっと承認された!」
と、喜んだ次の瞬間、承認されたスタンプのタイトルを見て愕然とすることになります。

「承認スタンプ名:Mr.Sweatshop Horse & his co-workers」

こ、これって…2番目に描いた方のバシャ馬くんやないかっ!

そう、そうなのです。

先に申請していた「バシャ馬くん 〜 Mr.Sweatshop Horse 〜」が承認されたのでは無く、その続編のスタンプの方が、先に承認されてしまったのです!

バシャ馬くんとバシャ子さんとのやり取りをすっ飛ばして、いきなり鹿くん・カバ君が登場する「続編」の方を先にリリースしてしまうと、意味不明になってしまう…と思い、承認がきたものの、販売開始をする事が出来ませんでした。

「スタンプを買う人は、そういう順番は関係ないから、出しても良いんじゃないですか?」とTさん、Nさんからは言われましたが、やはり、「達也がなぜ野球を始めることになったのか」という過程を飛ばしたタッチはタッチじゃないのと同じように、何故、鹿くんとカバくんが入って来ることになったのか、その過程を飛ばすことは出来なかったのでした。

こうして、承認されたスタンプは、ずっと販売出来ない状態になってしまったのでした。

 

こまの販売開始

そうこうしているうちに、バシャ馬くんではなく、2番目に描いた「ぼくはこま」が、9月7日(日)のお昼頃に承認されてしまいました。
 
こま承認
「ぼくはこま」は、「バシャ馬くん」とは関係性のない別コンセプトのスタンプだったので、すぐに販売を開始しました。

ぼくはこま

ちなみに「ぼくはこま」は、モチーフが「将棋の駒」「漢字」という純和風テイストのため、日本以外では殆ど売れておりません。

元プロ棋士で、株主優待で有名になられた桐谷さんが「いやぁ、このスタンプね、物凄くよく使うんですよ!」と月曜から夜更かしなどで言っていただければ、爆発的に売れるのかもしれませんが、現在は、鳴かず飛ばずですので、よろしければ、ご購入いただければ非常に嬉しいです。
 
ぼくはこまのLINEスタンプを購入する

 
 
まだまだエントリーを続けたいところですが、非常に長くなりましたので、続きは「後編」にしたいと思います。

果たして、「バシャ馬くん 〜 Mr.Sweatshop Horse 〜」は承認されるのか。
そして既に承認されている「バシャ馬くんと同僚 時々 後輩 〜 Mr.Sweatshop Horse & his co-workers 〜」は日の目を見ることが出来るのか…。それはLINEのみぞ知る!

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