組織に応じたシステム設計の重要性

先日、友人からEXCELの事を教えて欲しいと言われ、俺もあまり詳しくないけれど分かる範囲なら…と思い、話を聞くことにしました。

そのEXCELファイルを見せて貰うと、複数のシートに渡ってのマクロや、セルの絶対参照による計算式が書き込まれ、非常に複雑なファイルになっていました。

作っている本人でさえ、入り組んだ計算式を途中で追えなくなり、限界を感じて私に相談をした、ということのようでした。

ざっと見たところ、計算が上手くいっていない原因が、絶対参照すべきセルの指定が間違っているためと分かり、修正をする事で目的の動作をするようになりました。

ただ、日々入力する以外に、年次的に変更すべき箇所で、絶対に間違えてはいけない部分が手入力になっていて、「ここを間違えたらどうするの?」と聞くと、「変な数値が入ったらワーニングが出るようにしたい」とのこと。

私は「出来なくは無いけど、もうEXCELの限界を超えてるんじゃない?」と友人に言ったところ、「上司にEXCELでやればいいと言われたから」と返ってきました。

確かに、EXCELを活用して、まとめようとしているのは分かるのですが、これではいつか破綻し、自分以外の人に引き継いでメンテナンスが出来るとは思えませんでした。

それでも、ひとまずEXCELで作ってみて、これでは無理だということを証明しないと、会社的に認めてくれないという事を言われ、少し「ん?」と思い、何故なのかを聞き始めると、会社組織へと話題が変わってゆきました。

 

自分のポジションと目指すべき将来

その友人は現在、自身の父親が経営をする会社の社員として1つの事業に携わっています。

もちろん将来的には、会社を引き継ぐ立場であることは、既に会社の中でも公認されているようです。

現在の状況は、自身が所属する事業を成功させつつ、「今後の会社の姿」を考えるという立場にあり、現場の改革をする必要があると自覚し、試行錯誤をして現状をより良くしようしている過程のようです。

先の「これでは無理だという所まで自分でやってみる」のも、上司からそのように指導をされているようで、友人の視野や思考を広げる為の特訓を兼ねているようでした。

友人自身も、これまでに組織の上に立って、指導や運営を任されてきた経験があるため、人、すなわち組織を見る力はあるものの、どうやって仕組み作りをすれば良いのかという経験がまだ足りないんだなと感じました。

そこで私は「やらなければならないと思っている事は何?」と聞き、その問題点を挙げてもらうことにしました。

すると、徐々に会社組織の姿と、潜んでいる問題点などが見えてきました。

 

組織に潜んでいる問題点の「原点」に立ち返る

まず真っ先に、情報管理が出来ていないという問題があることが分かりました。

現場で作業をする人達が、今日、どんな作業をしたのかという記録を残す事が完全にはできていないため、顧客に納品した物の状況把握ができていないとのこと。これは企業としては大きなリスクです。

そこで友人は「googleカレンダーに日報を書いて貰う」という事を試そうとしていました。

私は瞬間的に「やめた方が良いよ」と返しました。

理由は簡単。googleカレンダーでは情報の管理が出来ないし、そもそも続かなくなるためです。

 

現場で作業をする技術者は、仕事が終わった後にPCの前に座って作業日報を書くということに対して、億劫と思う人が多いのです。そもそもPCを触りたくない人もいるでしょうし、そうで無くてもgoogleカレンダーのインターフェイスは決して分かりやすいものではありません。

しかも、googleカレンダーに書き込んで日報を書いたとしても、それは「情報の整理」ではないため、後々、お客様から作業内容に関して問い合わせがあった際に、簡単に情報を引き出すようなデータベース化とは言えません。

私は友人に「原点に立ち返って考えてみようか」と伝え「何を目的として日報を書かせるのか」の本当の意味を考えてもらいました。

暫く話をして「誰がいつどんな作業をしたのかを、誰でも、どこからでも見られるようにしたい」という本来の目的に立ち返る事で、どのような方法で、その目的を達成するかをイメージしてもらいました。

本当にEXCELやgoogleカレンダーを使うのが良いのか、もっと良い方法があるのではないか、という事を一から考えてもらいました。

すると、自社の組織が必要とする「仕事の仕組み」がそこに現れたのです。

 

適材適所に適したインターフェイスと、システムの統一化のメリット

そもそも1つのシステムといっても、使う人によってインターフェイスを変更して、使い勝手の良いように変えるのは、至極当然のこと。

まずは、立場立場によって、どの機能が必要なのか、また、どんな端末を利用するのが最適なのかを考える所から始まります。

・実際の作業をする人

・顧客からの問い合わせを受ける窓口になる人

・日々の情報をまとめて進捗管理をする人

・その事業に対して事業計画を立てる人

全員が1つの事業に取り組んでいたとしても、担当する仕事の内容によって、どのような情報を必要とするかは大きく異なるので、それに応じてシステムを考えていく必要があります。

 

実際の作業をする人の場合

実際の作業をする人達には、タブレット端末を使って貰い、作業が完了した際は「完了」のボタンを押して貰うだけの簡単なインターフェイスにするとどうなるでしょう。

ipadで管理

・作業内容が画面に出ているため、作業漏れがなくなる

・完了項目に対して「はい」ボタンを押すだけのインターフェイスであれば、現場へのシステム導入の壁がぐっと下がる

・いつ、だれが、どの作業をしたのかを、データベースに随時(即時)に登録できる

・バッテリーを内蔵し、手軽に持ち運べるので、使い勝手が良い

・汎用的なタブレット端末を利用する事で、壊れてもすぐに買い直しができ、ビジネスを止めることが無い

「googleカレンダー」を利用して日報を書くよりも、随分とスマートであり、リアルタイムに作業の内容がサーバへ送られ、データベース化されてゆく事で、結果的に「日報」を兼ねるシステムになります。

 

顧客からの問い合わせを受ける窓口になる人の場合

顧客からの問い合わせを受ける窓口の人は、作業を行った人のその履歴を閲覧・編集や追記などが出来るPCでの画面が必要になるでしょう。

・webブラウザで閲覧出来るようになっていれば、作業内容を簡単に検索することができる

・作業をしている人が間違えてボタンを押した、といった矛盾を補正する事ができる

・顧客からの問い合わせ内容の履歴を残す事が可能になり、全ての従業員がその情報を共有する事ができる

・WindowsでもMacでも、その時に一番良いと思われる環境への買い換えができ、セキュリティ対策にもなる

 

営業で客先を訪問する人の場合

営業に回っている人にはスマートフォンや携帯電話のインターフェイスを用意し、訪問履歴などの管理をすることで、これまで担当者任せだった顧客とのやりとりも、会社全体で共有することが出来るようになります。

 

このように、各部署毎に必要な機能に特化させ、システム全体をネットワーク化させることで、今まで情報管理が出来ていなかった問題が解決します。

また、友人の会社は、全国に支店があるため、webシステムの一元化をすることで、これまでバラバラだった情報が集約され、会社全体でのコストダウンも見込めるようになります。

実際に、このようなシステムを作るには、しっかりとした要件定義も必要ですし、作成にかかるコストも考えなければならないので、友人一人で導入に踏み切ることは出来ないでしょうが、ほんの数時間まで「EXCEL」や「googleカレンダー」で管理をしようと考えていた所から「部署に応じた必要な情報管理の仕組み」へと思考視野が広がったのではないかと思います。

 

その会社に勤める、夢はあるのかい?

ときに企業では「このシステムを導入すれば、こんなに仕事が効率化します」というキャッチーなフレーズに夢を託し、オーバースペックなシステムを導入して、従業員全員に利用を強いる場合があります。

たしかに大企業であれば、トップダウンで決まったシステムを一斉導入して、ハードランニングで改革を行ってゆかないと、会社が動けないという事情もありますが、中小企業はそうではありません。

中小企業でハードランニングで改革をすると、間違いなく人材が去って行きます。

企業を作るのは会社で働く人なのです。

友人は、これから何年後に社長に就任するかは分かりませんが、代替わりのタイミングで、これまで会社を支えてきた人達が去って行くと、企業はたちまち行き詰まります。

就任直後に無理な改革をして人材が流出してしまうのは本末転倒なので、今からゆっくりと適材適所のシステムを作り、社内に浸透させてゆき、会社を引き継いでも大丈夫な状況にしなければなりません。

 

友人は、これから何年後に社長に就任するかは分かりませんが、いつかは現在の約3倍の規模の会社にしたいと夢を語ってくれました。

私は、その夢を実現するためには「数年後にこんな会社にしたいから、今のうちに基盤となる仕組みを、ゆっくりと皆さんと一緒に作り上げてゆきたい」と現役人・従業員の人達にちゃんと伝え、改革すべきだよと伝えました。

どれだけ考えて使いやすいシステムを作ったとしても、導入当初は馴れないシステムに戸惑うのは当然です。

しかし「このシステムを導入する意図」や「将来はこんな会社になるんだ」という気持ちを、会社で働く全ての人が共有することで、会社の改革は前に進むはずです。

 

と、ここまで偉そうに書いてきましたが、私は京都市内で働く、どこにでもいる1人の社員だったりします(笑)

私が友人に対して、こんな偉そうなことを言うのは、悩みながらも頑張っている友人の姿を見るのが好きで、本気でぶつかれるからなのです。

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